なぜ商業出版に向けて、いま取り組んだ方がいいのか。なぜ「今でしょ?」なのか。今回はそれを説明します。

そもそも、すべての願望や夢は「いつかやろう」では永遠に実現しませんね。「いつか」は永遠にやってこないんです。やりたいことを紙に書いて部屋に貼っておいても、自分が行動しなければ状況は何も変わりません。そういう意味で、やりたいことがあるなら、思い立った日から何かしらの行動をすることが大事です。

という説教っぽい話は置いておいて……

商業出版を目指している人が、今すぐ行動しなければいけない理由は、単純に間に合わなくなるからです

これから世の中のサラリーマンがどんどん放出され、フリーランスになっていきます。会社勤めしている間は本を書く必要はありませんでしたが、フリーになると一気にその必要性が出てきます。つまり、出版したい人がどんどん増えていくということです。

そして一方で、出版社の目は年々厳しくなっています。おととし採用された著者が去年は採用されない、去年だったら通った企画が今年は通過しない。そんなことが頻発しています。

出版をしたい人(ライバル)は増える一方で、採用の難易度はどんどん上がっていきます。だから「今がベスト」なんです。ぼくの受講生の中にも、去年から行動しておけばと後悔する人もいますが、それでも「今から考えて最良のタイミングは『今』」です。

これからは自費出版が大きなビジネスに

ぼくも出版社を経営しているのでよくわかりますが、出版社のビジネスはこれから大きく2つに分かれるでしょう。

一つ目は、自費出版です。本を出したい人に向けて「お金出してくれたら出せます」と逆営業して、商業出版に見せかけた自費出版を提案します。読者は直接的には気づきませんが、じつはすでに多くの本がこの「商業出版っぽい自費出版」になっています。

この自費出版、出来上がった本を著者が買い取るという形式で行われます。普通に本を作り、一般的に流通しますので、読者には何もわかりません。でも著者が3000部程度(400~500万円)を出版社に支払っています。

著者ももちろん買い取りをしたことはいいませんので、皆さんからすると「あの人、商業出版できたんだ。すごいな。」と感じるわけです。そして「私もあの人と同じようにやろう」と思うわけです。でもその結果、待っているのは「3000部買い取ってくれたら、本を出します」という出版社からの逆営業です。

じつはこんな感じで多額のお金を負担して「商業出版」をしている人がとても多くなっています。著者が買い取ってくれるんだったら出版社はリスクなく本を出せますからね。非常においしい話になります(そして、利益は確保しましたから、出版された後もがんばって売る必要はなくなります)。

これが今後の出版社のビジネスのひとつです。

そして二つ目は、すでに実績がある著者の「手堅い本」を出版することです。実績がある著者であればリスクを相当減らして出版をすることができます。そして実績がある著者の本は書店に並べてもらうことが簡単なので、営業コストも下がります。一石二鳥です。

この「実績ある著者」とは、定期的に3万~5万部以上売れる本を出している人のことで、「本を出したことがある著者」はここには入りません。そこが難しいところですね。

話を元に戻しますが、これから出版社のビジネスは、著者が買い取ることを前提にした自費出版的な要素がかなり多くなってきます。そしてますます増えていきます。この流れを変えることはかなり難しいです。

著者が費用負担なしに、本当の意味での商業出版をするためには、コンテンツの質も大事ですが、それ以上に「時期」がポイントです。早ければ早いほどチャンスが大きくなるので、そこを見落とさないようにしたいですね。