出版の全体像とスケジュール

出版決定への段取りを説明します。まずは、スケジュールです。ぼくらが本を出そうと思ったときに、何をどの順番でどういう風にやっていかなきゃいけないのか。その全体像を掴んで下さい。

まずは、出版企画書を書く

ぼくらがやることは、まず出版企画書を書くということです。出版企画書がないと出版社は何していいかわからないんですね。言ってみれば、「飛び込み営業に来た人が何も商品持ってない」みたいな感じなんですよ。商品を持たずに飛び込み営業に来られても、何を買っていいのか、何の話をしていいのかわからないじゃないですか。

ぼくらは自分のコンテンツを企画書の形式にまとめて「これどうですか?」という風に相手に営業しなければいけない、ということなんです。まずは出版企画書を書きましょう。

次は、編集者にアプローチする

そして書き上がったら次。編集者にアプローチをします。当たり前なんですけれども、作った企画書を自分で眺めていても出版にはつながりません。それを編集者に見せなければいけないんですね。
編集者にアプローチをすることで、初めて出版の土台に乗っていくという感じです。

そして編集者といろいろ話をすると、色々宿題をもらったりします。そして、それがなんとなく形になってくると編集者が「じゃあ、これで行こう」と言う風になって、次は出版社内の会議に上げます。これを編集会議とか企画会議という風に言ったりします。言ってみれば社内の稟議を通すわけです。

編集者が「この著者とこういう本を作りたいんですけど、いいですか?」っていうように社内で決済を取る感じです。なのでこの編集会議は編集者が行ないます。著者は一切参加できません。編集会議に行って「私が代わりにプレゼンします」っていうのはナシです。編集者が社内で自分の上司なり営業者や上司に対してプレゼンをします。それが編集会議です。

そして次が、執筆です

そしてこの編集会議を通過すると、「あなたの本がうちの出版社から出ることが決まりました」ということになりまして、次、執筆になります。出版決定になったので執筆していいんです。決まるまで書いちゃいけませんよ。
そして執筆が終わると今度は編集者が編集します。編集が終わると印刷と流通の仮定に入り、それが書店に行く。これが出版の全体像なんですよ。

スケジュール感を把握しよう

同時にスケジュール感も把握しておかなければいけないんですが、出版企画書どれくらいで書けるかは人によって違います。そして、編集者がどれくらいで編集会議に上げてくれるかもケース・バイ・ケースです。これも人(編集者)によって全然違うんですよ。早ければその週に上げてくれますし、遅いと一年後になったりもします(そういうこともマジであり得ます)。

スケジュールとして、ある程度決まっているのがその後の執筆・編集・印刷――この工程なんです。
ですから、わかりやすく説明するためにそちらから説明します。
つまり「あなたの本がうちの出版社から出ることが決まりましたよ」と出版決定になってから、その本が書店に並ぶまでどのくらいかかるかということです。

まず執筆のステージ。
これは3ヵ月くらいで終わると見られています。実際皆さんが本の原稿を書いていくわけですけれども、「ここの期間は大体3ヵ月くらいで終わるだろうな」という相場観ですね。

ここ、気をつけて下さい。「3ヵ月くらいで終わるだろうな」ということは、「まあ3ヵ月くらい経ったら相手はそろそろ来るだろう」と相手は待っているってことですからね。この3ヵ月経って待っているのに著者が全然出してこないと、編集者は「ああ、あの人はもう出版興味なくなっていなくなったんだ」「フェイドアウトしたんだ」という風に思います。
もしくはものすごい催促というかですね、プッシュをしてきます。スケジュールはしっかりと事前に把握して守るようにしましょう。

もし執筆期間にものすごく時間がかかるのであればあらかじめ言っとかなければいけないですね。
向こうは3ヵ月経ったら待ってますので。
もし半年かかるんだったらそれを言っとかなければいけないし、あとは執筆に着手するタイミングが遅れるのであれば、「向こう2ヵ月は全く手が付けられなくて、その後書き始めます」ということであればそれを相手に言っとかなければいけない、ということです。

はい、そして次。編集のスケジュールです。
著者が書いた原稿を編集者が編集しますが、これ大体2ヵ月くらいかかるものです。これも相場なので確定ではないんですけど、早い場合でも1ヵ月半くらいはかかります。で、遅いと半年とか一年とかざらでかかります。大体のイメージとして2ヵ月くらいを見ておけばいいかな、という感じですね。

そして、印刷流通
これ1ヵ月は物理的にかかりますので。まあ、早めることもほぼできないですね。ということは、編集会議が終わってから書店に並ぶまで3ヵ月+2ヵ月+1ヵ月。合計6ヵ月かかるということなんです。言い方を変えると、「あなたの本がうちの出版社から出ることが決まりました」となってから実際に本になるまで半年かかる、っていうことなんです。こういうスケジュール間で出版業界は動いています。

ここを外さないで下さい。これが標準です。6ヵ月、7ヵ月。ちょっとぶれて8ヵ月。それぐらいはかかるんですよ。なので、「私の本、すぐ出したいから2ヶ月後に出して下さい」っていうのは無茶ぶりなんですよね。無茶ぶりというか無理難題を言ってるのと同じなんですよ。出版業界は自分達の相場と著しく外れた考えを持っている人に対してあんまり忍耐強くないっていうか、寛容にはなってません。「そんなに無茶なこと言うんだったら、もういいです」っていう感じですぐ切られちゃいます。

こっちは知識がないだけで別に悪気があって言ってるわけではないんですけれども、でも「いや、そんなの無理に決まってるじゃないですか。何言ってるんですか。アホですか」みたいな感じで怒ったりする人もいるので、ここは相場観としておさえておきましょう。

出版業界の常識として、企画が通ってから実際本になるまで半年以上はかかるものだということをまずはおさえて下さい。