こんにちは、木暮太一です。ぼくは普段、出版のコンサルタントとして商業出版で本を出版する方法をお伝えする出版塾を主宰しています。

そして今日はコンテンツの掘り出し方に関して解説をします。本を書くためにはコンテンツを見つけなければいけません。そして、コンテンツを見つけるためには、自分の棚卸しをしたり、自分で自分の専門性を定義していったりしなければいけないんですけれど、ここで注意が必要なんです。

というのも、世の中で言われている「自分の棚卸し」のやり方では見つからないからです。

一般的に自分の強みや自分の本当に好きなものを見つけるときに、過去の自分を振り返りましょうと言われることがあります。要は過去を自分が何をやりたかったかを思い出して、自分の本質にたどり着きましょう、ということです。私は小さい時こういうことをやりたかったよねとか、こういうことが得意だったよね、そこから何か見つけていきましょう、そこにヒントがあります、ということです。

もちろんその視点で見つかるものもあると思うのですが、出版に関してはあんまり役立たないんですよね。その考え方をしても出版のコンテンツは見つからないし、ご自身のコンテンツにたどり着かないです。

なんでかといえば、「それは子供の時の話だから」です。

たしかに子供の時はそれが得意だったかもしれませんが、大人になっても通用するかと言えば、それはまた別問題です。

また、子供の時に好きだったことを今でも継続しているわけでもないですね。小さいとに鉄道が好きでも、いま鉄道マスターになっているとは限らないわけです。というか、子供の時の「好き」や「得意」を今も貫いている人はかなりレアケースですし、そもそもそれを貫いていたら、幼少期を振り返る必要もないです。

さらに言うと、読者は著者の本質について読みたいわけではありません。思い出話を聞きたいわけでもないですね。読者は自分に役立てられる情報を探していて、著者から得るものがあるからその本を読もうとするわけです。

自分が何か習得できる
痩せる
必要な知識を身に着けられる
スキルが身に付く

などなどです。ということで、過去の自分を振り返ることが重要なのではなく、いまの読者に役立つものを探すことが大事です。

ではそれをどうやって発掘していけばいいのか? そこがポイントになりますね。

ぼくがいつも出版塾の受講生の皆さんに伝えるのは「自分が思っている専門性は、じつは専門性ではない」ということです。

どういうことかというと、「コミュニケーションの専門家」の方も、じつは「コミュニケーション」は教えていないということなんです。ぼくも「コミュニケーション」の分野で仕事をしています。企業内の研修や講演でコミュニケーションについて語ったりしています。ある意味「コミュニケーションの専門家」なんです。ただですね、ぼくは「コミュニケーション」というものを教えているわけではないんです。

コミュニケーションとは、いろんなものを総称して「コミュニケーション」と呼んでいますよね。話し方、聞き方、メールの送り方、相づちの打ち方、それから叱り方、ほめ方など。いろんなものを総称して「コミュニケーション」って呼んでるわけです。

そして、「コミュニケーション」という行為もないんです。

日々日々コミュニケーションしているとか、うまくコミュニケーションが取れる・取れない、という話がされますが、「コミュニケーション」という動作はないんです。

だから「コミュニケーションの専門家」が教えていることも、「コミュニケーション」ではなく、実際は「話し方」「聞き方」「メールの送り方」のはずです。そしてそっちが本当の専門性のはずです。そして、本のネタになる自分の専門性はそっちです。コミュニケーションの本を書きたいと編集者に伝えても分かってもらえません。自分の専門性を正しく伝える必要がありますね。