よく「使っている言葉がその人を作る」と言われます。言葉の乱れは生活の乱れともいうように、汚い言葉づかいをしていると行動も荒くなるなど、言葉がその人の行動に影響を与えることはありますね。

それと同じように、その人が持っている「シナリオ」がその人を作っていると思うのです。要は、その人が持っている「これをやると、こうなる」という想定は、直接的にその人の行動を決めていくと思うのです。

かつて、「サラリーマンを辞めて独立したら、一家離散」と言われていた時期がありました(もしかしたら今でもそう思っている人がいるかもしれません)。独立をして借金をし、事業がうまくいかなかったら借金取りに追われて一家離散になってしまう、だから独立なんてするもんじゃないという理屈かなと思います。

でもこれは事実ではありませんね。「独立=一家離散」ではありません。その人がそう思っているだけで、独立したらもれなく一家離散するわけではありません。でも、「独立したら、一家離散」というシナリオ持っている人は、サラリーマンを辞めて独立しようとしません。何としてでも会社にしがみつき、サラリーマンで居続けるでしょう。そのシナリオが本人の人生を導いていることになります。

そもそも「独立したら一家離散」というロジックはだいぶ変です。「サラリーマンを辞めて独立をして一家離散」になっちゃった人はもちろんいます。でもそれは超レアケースです。

まず、サラリーマンを辞めて独立をしても、借金をしなければ借金取りに追われることはありません。そして、借金をしても、それが通常の銀行であれば、絵にかいたような借金取りは来ません。さらには、借金取りが来ても、自己破産をすれば返済義務はなくなるので、一家離散にはなりません。

なのでこの「サラリーマンを辞めて独立をしたら一家離散」となるわけではないんです。

このシナリオが当てはまってしまうのは、

・独立して借金をして事業始めた
・その事業が失敗した
・その借金を、借金取りが来るような闇金から借りていた
(言い方を変えると、借金の仕方がわからないか、通常の銀行が貸してくれなくなるまで失敗を重ね、さらにそこまで行っても再就職せずに自分の事業にこだわった)
・自己破産をしなかった

という条件にすべて当てはまる人が直面した状況です。不幸にもそういう人はいたかもしれません。でもそれを例に出して「だから独立は危険だ」というのは暴論です。

要は、事実として「独立が危険」なのではなく、独立するとそういう運命になるというシナリオを思い描いている人にとって、独立が危険に見えるだけです。そして独立は危険だという人は、そう思っているがゆえに、独立をしようとしません。

その人のシナリオがその人を作っているし、その人が持っているシナリオが、その人の人生を決めるんです。だとしたら、ぼくらがやるべきことは何かといえば、新しいシナリオを手に入れること、そして自分が持っているシナリオと交換することです。

ぼくはこれこそが他人から学ぶ目的だと思うんですよね。

自分が持っているシナリオが正しいとは限りません。でも、自分は自分が持っているシナリオに相当影響を受けています。そして、自分のシナリオと矛盾する情報が入ってくると「そんなのはうそだ」と切り捨ててしまいがちです。これではずっと変わらない。

もし、いまの現状が自分が望むものではないのであれば、スキルやノウハウを身に着ける前に、自分が持っている「これをやったら、こうなるだろうな」というシナリオを更新しなければいけません。誰でもいいです、自分が尊敬する人、憧れる人が持っているシナリオを聞きましょう。そしてまずはそれを受け入れてみましょう。

だいぶ世界が違って見えると思います。


ぼくのメルマガでは商業出版を実現させベストセラーにするためのノウハウや、自分のコンテンツを商品化させる手法などを著者であり出版社経営者であり出版プロデューサーである立場から解説しています。ぜひ登録お願いします。