世の中には、自分で選んだと思わせて、じつは他人に誘導的に選ばされていることがある。というよりむしろ、ほとんどの選択が誘導されているかもしれない。


最近、古畑任三郎にまたハマってるんです。ぼくが中学生のときのドラマなのに、今でも超面白い。あれはすごいですね。

古畑任三郎のドラマの中で「マジシャンズセレクト」って言葉が出てきます。犯人がマジシャン(山城新伍さん)で、マジックを使って殺人を犯すという話です。この「マジシャンズセレクト」、ぼくは最初に聞いた時からすごい頭の中に残ってて、今でも意味なくお気に入りの言葉なんです。ちなみに、「マジシャンズセレクト」とは、相手が自分で選んだように見せかけてマジシャンが意図通りのものを選ばせるテクニックのこと、らしいです。

「好きなの引いてください」から始まるマジック、よくありますよね。好きなのを引いたので相手は自分で選んだと思っています。でもじつはマジシャンが意図通りのカードを引かせている、もしくはどんなカードを引いてもマジックが成立するようになっているんです。

このマジシャンズセレクト、じつはマジック以外にも使われています。そしてぼくらは知らないところで「選ばされて」いるんます。問題は、ぼくらが自分自身でその道を選択したと思っていること。そしてその選択が誰かの意図通りになっていて、あなた以外の誰かの利益になっていることです。

どうです? 気になった? 気になりますよね?

解決編はCMのあとで。古畑任三郎でした。

ではなく、いまから書きます。

セールスのテクニックで、選択肢を絞って語り掛ける話法があります。洋服屋さんでお客さんがなんとなく服をみています。買うとも買わないとも決めていない段階で店員さんが声を掛けますね。

ここで「どんなものをお探しですか?」と聞くと、「いえ、見てるだけなので……」と断られます。でも「赤と青のどっちが好きですか?」と問いかけると、「(どっちかと言ったら)赤かなぁ」と選んでしまう。

お客さんがそれほど気に入っていない商品でも、「赤と青のどっちが好きですか?」と選択肢を出されると、答えちゃう、というか選んじゃうんです。

ポイントは、お客さんはまだその商品を選ぶと決めていなかったことです。本当は「赤も青も選んでいない」のに、赤か青かを聞かれたので、自分で「赤」を選んでしまった。しかしお客さんの中では、「赤を選んだのは自分」という認識になりますね。

自分が選んだかのように思わせて、じつは店員さんが選ばせています。これをマジックの世界でマジシャンズセレクトと呼ぶかは知りませんが、起きている現象は同じ事です。

これと同じで「年収1000万円」もマジシャンズセレクト的なフレーズです。

日本では、年収1000万円が高収入の一つの目安になっています。なぜでしょうか? もちろん、区切りがいいからということもありますが、ぼくはこの背景にマジシャンズセレクトを感じずにはいられんのです。

お金持ちになりたいという人に対して、目指している年収金額を聞くと、結構な割合で「年収1000万円」と答えます。つまり、[お金持ち≒年収1000万円]という図式になっているわけですね。

ただし、年収1000万円になっても、その人が思い描くようなお金持ちの生活にはなりません。「値札を見ずに買い物がしたい、年に数回はビジネスクラスで海外旅行に行きたい、都内の高層マンションに住んで、高級レストランで外食して……。」そんな感じのイメージをしているのであれば、手取りで2000万円くらい必要でしょう。税金を考慮すると2500万円~4000万円くらいの稼ぎが必要です(税金のかかり方はサラリーマンかビジネスオーナーかによって違います)。

話を元に戻しましょう。いわゆる「お金持ちの生活」をするためには、年収1000万円では足りません。ではなぜ、みんな年収1000万円を目指すのでしょうか?

ぼくはここにマジシャンズセレクトがあると思っています。要はぼくらが自分から年収1000万円を目標に設定したかのように思わせている人が、誰かほかにいると思っています。はい、陰謀論です(笑)

その人はぼくらに「年収1000万円のお金持ちを目指しますか?」と問いかけてきます。お金持ちになりたいぼくらはその問いに対して「目指す」と答えます。そして、年収1000万円になるために頑張って勉強して、頑張って仕事をします。

ぼくらはこうやって自分で道を選んだように思わされています。

これのどこが「選んだように思わされている」のか? 何を選ばされたのか?

それはサラリーマンとして生きる道です。ぼくらは「その人」から、サラリーマンになる道を選ばされたんです。どうやって? [年収1000万円=お金持ち]という基準を与えられることによって、です。

繰り返しですが、本来年収1000万円は多くの人がイメージしているお金持ちの経済状態ではありません。にもかかわらず、かなりの割合で[年収1000万=お金持ち」と思っています。そしていつの間にか、お金持ちを目指すかどうかではなく、年収1000万円を目指すかどうかの議論にすり替えられています。

多くの人がイメージするお金持ちになるためには、ぼくらは年収3000万円くらいにならないといけません。でも、そうなっては「その人」には都合が悪いんです。ぼくらが年収3000万円を目指すと困っちゃう。

なぜか?
年収3000万円は、サラリーマンでは目指せない金額だからです。

サラリーマンで年収3000万円を目指すのはほぼ不可能と言っていいくらいです。もし[お金持ち=年収3000万円]だったら、サラリーマンでいるうちは、自分の目標が達成されないことになります。となるとサラリーマンを辞める、もしくはサラリーマンを目指さなくなりますね。これだと都合が悪いんです。

一方で、サラリーマンでがんばれば年収1000万円に手が届くルートも見えています(もちろん会社によります)。そこで10年、20年がんばれば、「お金持ち(年収1000万円)」になれるのが見えています。だからそこでがんばろうとする。

日本のどこかに、ぼくらにサラリーマンでいてほしいと思っている人がいて、その人がお金持ちの定義を勝手に作り、そこを目指すかどうかの問いかけをしてきます。

ぼくらはお金持ちになりたい! お金持ちになるために頑張る!と自分で意思決定したつもりでいますが、同時にサラリーマンで居続ける選択をさせられているわけです。

これがぼくが感じているマジシャンズセレクト。

選択肢が提示されれば自分で選ぶことができます。でもその選択肢自体が意図的に、誘導的に作られていたとしたら? 怖いことですね笑 

人から与えられた選択肢には多かれ少なかれ相手の意図が入っています。その中で自由に選択できたとしても、所詮は相手の手のひらの上で転がってるだけです。選択肢から自分で作らないといけませんし、そのために選択肢を作れる自分になる必要がありますね。


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