経済的に自由になるという目標は、誰しも持っているものだと思います。そして、できるだけ早く経済的自由を得たいと思っていますよね。最近も「FIRE(経済的に自立して、早期に引退する)」って言い方で改めて注目を集めています。

ただちょっと最近の「FIRE」には疑問があります。いや、ちょっとではなくかなり疑問です。FIREの考え方自体はいいと思うんです。しかしですね、その理論が相当おかしい。最近いわれているのは、

・年間の支出額の25年分を貯めて
・貯めたお金を年率4%で運用して、運用益の範囲内で生活する

って理論です。これ、冷静に考えてみたら相当無理ゲーだと感じるのは、ぼくだけでしょうか?

年率4%で運用するってのは、そんなに難しいことではないけど、その前の「支出額の25倍をためる」ってのが相当無理ゲー。

まず、「年間の支出額の25年分を貯金しろ」って簡単にいうけど、年間の支出が200万円の人は、まず5000万円貯金しろって意味ですよ。月々10万円貯金しても500カ月(41.6年)かかるってことです。本当に生活を切り詰めて、毎日毎日超がんばって月々20万円ずつ貯めていっても、20年以上かかる。30歳から始めて達成できるのが50歳。

すでに「若くして引退する」というイメージから外れているのでは? と思ってしまう。

日本の平均世帯年収は660万円、可処分所得はだいたい550万円です。月で考えると46万円弱。そのうちの20万円を、しかも20年にわたって貯蓄に回すのが正しい戦略とは、ぼくには到底思えない。

そして、「貯めたお金の4%で今後も生活できるか」って聞かれたらどう思うだろうか。計算してみるとわかるけど、貯めたお金の4%で生活するってことは、お金を貯めている時と同じ金額で生活するってことですよ。

年間200万円の人は
→その25倍の5000万円を貯めるのが目標
→その5000万円の4%以内で生活しよう
→5000万円の4%は200万円
→つまり、スーパー倹約生活が継続するってこと

ですからね。

これって
「若いうちは、必死にがんばって切り詰めて生きよう。さすれば将来バラ色です」
ではなく、
「若いうちは、必死にがんばって切り詰めて生きよう。そして将来も同じように必死にがんばって切り詰めて生きよう」
ってことですよね。

もちろん、貯めているお金を投資に回し、いい利率で増やしていけば、目標金額はその分だけ早く貯まります。ちなみに、毎月20万円を年率4%の複利で運用していけば、15年ちょっとで5000万円にたどり着きます(ただしこれは単なる皮算用です)。
※この金融庁のサイトでもいろいろ計算できますので、ご自身で試してみてください。

何が言いたいかっていうとですね、「これで問題は解決しない」ってことなんです。

仕事をしたくないという感情はわかります(ぼくもサラリーマンの時は毎日そう思っていました)。仕事を辞めたいんですよね。でもそんな「嫌な仕事」を続けているのは、お金に不安があるからですよね。この仕事は嫌だけど、やめたら生活ができなくなるから続けているわけです。

でも、ちょっと考えてみてください。
給料が下がっていいんだったら、いろんな仕事を選べますよね。仮に年間の給料が240万円下がっていいなら、たとえばリゾートで半分遊びながら仕事していくことも可能です。ある程度の年齢がいってからでもできる仕事もたくさんあります。

仕事が心底嫌いな人は、その嫌で嫌で仕方がない仕事以外にも、他に仕事はたくさんあるのに、「将来のため」を思って、我慢してその仕事をしているんじゃないでしょうか?
(何度も言いますが、ぼくもその気持ちはわかります)

将来の経済的な不安を解消するために、今は頑張らないとと思っている。そして、せっかくその「ガマン代」としてもらった収入を将来のためと言って貯める。そしてめちゃくちゃがんばって静かに生きる。

それなのに、その「将来」も引き続き我慢して生きるだけのお金しか残らない。

これって作戦として破綻してますよね。最近注目されている「持続可能(SDGs)」的な発想で、貯めるお金が減ったとしても無理しない働き方をする。そして「将来」もそれを続ける。

どっちがいいでしょうか?

若くして引退することをゴールに考えたい気持ちはわかる。
でもそれを実現するための代償が大きすぎやしないか?

そう感じてしまいます。

目的は「引退すること」ではなく、嫌な仕事をせずに済むという自由を得ることですよね。そもそも若くして「引退」なんかしたら、やることなくて暇すぎるし、それはそれで結構な苦痛です。

解決策は、お金を貯めることではなく、ストレスを感じない仕事で安心日々安心できるだけのお金を稼ぐことです。我慢しながらお金を貯めるより、我慢しないで生きる道を探した方がいい。資産運用を考えるより、自分運用を考えた方がいい。

ぼくはそう思っています。


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