こんにちは、木暮太一です。今日は著者が出版社にアプローチする時に大事なことを解説します。全体としては出版企画書の書き方、そしてその時にアピールすべき要素をお伝えしますね。

ぼくは長年、出版塾(出版セミナー)を主宰しており、出版のプロデューサーとして数百冊の本を世に送り出してきました。ぼくの塾に来る方は、ほとんどの方が「これから勉強する」という段階で、ぼくがゼロからお伝えしています。「知識ゼロからの商業出版講座、ベストセラー出版講座」という感じですかね。

◆まず出版企画書がないといけません

ぼくが出版セミナーの受講生の皆さんにまず伝えるのが「企画書の書き方」です。

まず本を出そうと思ったら、出版の企画書を書かなければいけません。いわゆる「出版企画書」です。この出版企画書がないと、出版社は話を進められないと思った方がいいです。というのも、これが一般のビジネスで言う「営業提案書」になるからです。提案書がなく、口頭で商品の概要を説明しようとしても、商談はなかなかうまくいきませんね(そういうスタイルの上級者もいますが、一部の人だけが使える方法かと思います)。

まずは出版企画書ありきです。自分の書きたいテーマが決まったら、それを企画書にします。さらっと書きましたが、ここがかなり重要です。

出版の企画書は、ある程度、体裁が決まっているんです。そして、一般のビジネスで使う企画書とは全然違うものなんです。さらにいえば、一般のビジネスで使う企画書を持って行ったらすぐ却下されて終わると思います。

100パーセント、これじゃなきゃいけないということではありませんが、ふだん慣れているフォーマットと別の体裁で来ると違和感を覚える編集者もたくさんいます。「郷に入っては郷に従え」なので、通常の体裁で出すのが無難ですね。

◆出版企画書の体裁とは

では、その通常の体裁とは何か?

まず、「ワード」で書きます。パワーポイントではなくて、ワードです。一般のビジネスでは企画書と言えばパワポですね。図とかイラストとか図形とかいろいろ入れますよね。

でも出版業界では、そんな感じの企画書は作りません。ほぼ間違いなく作りません。なんなら、編集者が使っているPCにパワポのソフトが入ってないんじゃないかというくらい、パワポは使いません。なのでワードで書く必要があります。

用紙の向きは「A4タテ」で「ヨコ書き」です。いわゆる、ビジネス文書と一緒ですね。フォント、字体、文字の大きさなどは、ワードのデフォルトのまま使ってください。変更はしないでください。文字を大きくしたり小さくしたり、行間を詰めたり、文字の数を増やしたりしてはいけません。特に、ビジネス文書で使わない丸文字とか、ちょっと特徴だった字体を使うことは厳禁です。やめましょう。

で、余白も「規定値」のままにしましょう。余白を減らしたりして、ギチギチに詰め込む企画書をたまに見かけます。文字量が多くて、たくさん情報が詰まっている感じはしますが、非常に読みづらいですよね。それでは読んでもらえません。

だから、基本設定は絶対に守ってください。

それから、出版企画書の枚数は、少なくしなければいけない。枚数は増えれば増えるほど、読んでもらえる可能性が減ります。

いろんな情報を詰めたら、いろいろわかってもらえて、採用される確率が上がるんじゃないかと思う人もいるかもしれませんね。でも、それはありませんよ。みなさんも、営業されたときの提案書が分厚かったら、読む気がなくなりますよね。

まだ自分が興味をもってない内容に関しては、「短い提案書」で「短い時間」で伝えなければなりません。

◆どんな内容にすればいい?

みなさんが出版企画書と聞いてイメージするのは、「自分が書きたい本の内容をまとめる」ということかなと思います。しかしそれでは、自分本位の自己アピールにしかなりません。

企画書は提案書です。要は「あなたにもメリットがありますよ」「あなたがこの提案を受け入れたら、あなたにも利益ありますよ」っていう方向性で書かなきゃいけない。

つまりは、編集者が「これだったら私にメリットがある」と感じる要素を書かなきゃいけないんです。じゃないと受け入れてもらえない(当たり前ですが)。

でも「私がこれを書きたいんです!」っていう企画書が、99.9%です。

ということで、編集者がメリットを感じる要素を考えていきましょう。まず編集者が感じるメリットは大きく分けて2つです。

1)本が売れる
2)社内のノルマが達成できる

順番に説明しますね。

1)本が売れる

これはわかりやすいですね。自分が作った本がたくさん売れた方がいいです。誰だってそう思います。自分が手掛けたものが世の中に評価されるわけですから。

ただ、「本が売れる」とはあくまでも結果だということを忘れてはいけません。だからその出版企画が売れるかどうかはやってみないとわからない。

ではどうするか? 編集者が売れそうと思う要素を出すんです。

企画書を見て編集者が「これ売れそう」と思えばいいわけです。そのためにすることは、「現在ベストセラーになっている本」の要素を取り入れることです。詳しくはぼくのメルマガで今後解説していきますが、ベストセラーの要素をあなたの企画に盛り込めば印象が良くなるということです。

※タイトルやテーマをパクるのではありません。そんな安易な取り入れ方は逆に印象を悪くします。要素を入れるんです。

ベストセラーを研究し、その要素を入れて企画を作りましょう。それが編集者に受け入れてもらうポイントです。

2)社内のノルマが達成できる

一般の会社とは違って、出版業界ではあまり売上をノルマとしていません。一般的に考えれば、編集者のノルマは、作った本がどれだけ売れて、どれだけ会社に利益貢献したかで設定されるだろうと思いますよね。

でもそうじゃない。

編集者のノルマは売上でも利益貢献でもありません(中には作った本の利益が人事査定に反映される会社もありますが、ほとんどは違います)。編集者のノルマは、「1年に10~12冊、新しい本を出すこと」です。つまり新しい本を出すことがノルマです。

売上関係なくて本を出せばいいんだったら簡単では? と感じますよね。もちろんそれだけだったら簡単です。でも本を出すといっても、適当には出せません。社内の会議(企画会議)が通らなければ、出したくても本を出せません。

つまりは、社内でGOサインをもらえるような企画を作らなければいけないわけです。それが大変です。そして、裏を返すと社内の会議を通しやすいような企画を見たら「私(編集者)のメリット」と感じるわけです。

ではどういう企画が通りやすいのか? それがポイントになりますね。

もちろん「ケース・バイ・ケース」です。ただそれを言っても全く意味がないので、大まかな方向性を示しますね。編集会議を通過する企画とは、「著者が売ってくれそうな企画」です。

総じて考えれば、著者の力で売れていきそうな企画が、「編集会議が通る企画」と思っていただいて問題ありません。※これも細かいノウハウになりますので、ぼくのメルマガ会員さん(といっても無料ですが)に今後お伝えしていきます。

ポイントは、著者が売れる人になること、そして出版社から見て「本を広めてくれそうな人」に見えること、です。もちろん、見せかけではなく、実際にそういう人にならなきゃいけないんですが、大事なのは「出版社がそう思うこと」です。

隠れた才能を隠しておいても相手にはわかってもらえないので、しっかりとアピールすることが大事、ということです。

これからは「いい企画」を作れば本を出せるわけではなくなっています。いかに売れる環境を作るか、そして出版社に対して「私の本を出したら売れまっせ」とアピールできるかがキーになってきます。

これまでとは発想を変えなければいけません。この目線で考えてみましょう。


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