出版業界が右肩下がりになって久しいですが、そんな中で電子書籍の売上は伸びています。ただ、だからといって「電子で本を読む人が増えた」と感じるのは早いですね。

電子書籍で売れているタイトルの75%以上はマンガです。マンガは本ではない、ということではありません。マンガはマンガ、書籍は書籍です。情報としての書籍は、電子ではほとんど読まれていません。

ビジネス書や実用書はまだまだ紙が主流で、電子書籍にしても「プラスα」程度にしかなりません。もちろん、超コアなビジネス書や、著者がネット系に強く、読者もネットリテラシーが高い場合は電子書籍も売れます。でもそれは例外です。

一般にぼくらが本を出すと、紙の本の売れ部数が8割・9割です。

しかも、電子書籍のほとんどがスマホで読まれています。Amazonのkindle端末がもっと普及すれば電子書籍も伸びると考えられがちですが、それは違います。すでにkindle端末は頼られていませんで、読む人はスマホで読んでいるわけです。

そしてこの流れがガラッと変わらず、スマホが電子書籍用の端末になるとすると、「kindle端末が普及すれば」という前提は意味をなさなくなりますね。電子書籍を読む人はすでにスマホで読んでいるわけですから、kindle端末が普及しようがしまいが、読む人は読むわけです。

出版業界では、もう何年も前から語られていることですが、コンテンツはスマホ向けに開発しなければいけません。そしてスマホの利点を十分に活用しきったコンテンツが出てくれば、また電子書籍の未来も変わってくるかもしれません。