こんにちは。今回は「自分で本を書きたいけど、ネタが見つからない!」という人たちのために、「こうやったらいいよ」というのをお伝えします。

本を書くネタに困ったときに、どうすればいいか? 売れる本の内容を見つける方法を作家で出版社経営者で、かつ商業出版をプロデュースしている木暮太一のやり方をお伝えします。(ぼくが主催している出版塾で受講生のみんなに伝えている内容です)


ぼくは今まで、60冊の本を書いてきました。だいたい1年間に5、6冊書いています。
ですから、よく「木暮さんは、どうやってそんなペースで本のネタを思いつくんですか?」と聞かれます。

ぼくとしては、ネタを思いつくことよりも書く方がポイントだと思っているので、「どうやって、そのペースで書いているんですかって」と聞いてほしいんですけどね笑

多くの方は、
「どうやって、そんなネタを思いつくんですか?」
「売れるネタって、どうやって思いつくんですか?」と質問してきます。

ですので、今回はその質問にお答えします。本を出そうと思ったときに、まず考えなければいけないのは「自分がどんなネタ(テーマ)を書くつもりか」です。

本の方向性を決めるときに一番大事なのは、何でしょうか? 「自分の棚卸」ですか? 違います。「世の中のリサーチ」ですか? 近いけれども、違いますね。
人に聞く、編集者に聞く? これは駄目です。やってはいけません(※なぜなら、人によって意見がかなり偏るからです。その人の意見が、必ずしも正しいとは言えないわけですよね)。

ぼくが本を書こうと思ったときに、何を考えているか。どうやって、ネタを探しているか。答えは1つしかありません。それは「本を読むこと」です
本を読むといっても、家に置いてある本を開いて読み返すわけではありません。まず、書店に行きます。書店に行くと、いろいろな本が並んでいますよね。

いろんな本を見て、「どんな本が並んでいるのか、最近はどんな本が出版されているのか」をバーッと見ていくわけです。その中で、「これ、よさそうだな」とか、「この本、自分も何か書けそうだな」って思ったものを見つけます。そこから自分のネタを決めていくんですよ。

要は、いま出版されている本から、自分のネタを決めていくんです。もちろん、その本をそのまま丸パクリしたら、ただ単にパクリ本になってしまいます。そういうことはやりません。インスピレーションをもらうんですよ。

例えば建築家だったら、いろいろな建築を見に行きますよね。そして建築からインスピレーションをもらって、自分のデザインを決めていきます。それと一緒です。

ぼくら作家がやっているのは、自分でコンテンツを出す、本を生み出していくことです。
コンテンツを生み出す前に、ネタをインプットしなければいけません。では、どうやってインプットするかというと、他の本からインプットするのです。中身をインプットするというよりは、テーマをインプットするイメージですね。

「最近こういうネタが多いよね」
「こういう本が増えてきたよね」
「こういう切り口は、自分の中になかったな」

というのを、ひたすら書店で見つける。これが、けっこう良い”ひとりブレインストーミング”になるんですよ。書店に行くことを習慣にしていると、いろいろなネタが入ってきます。

1冊1冊、立ち読みする必要はありません。タイトルをガーッと見ているだけで、「なるほど、こういう切り口があるな」とか「こういうふうに来たか」など、かなり勉強になるのです。みなさんも、ぜひ書店に行ってみてください。

今はコロナの影響で「出歩くのがはばかられる」という方もいらっしゃるかもしれません。マスクして、完全防備で行ったら何も問題ありません。書店で騒ぐわけでも、何か音読するわけではありませんからね。ぜひ行ってみましょう。


ただし、これはAmazonなどインターネット上の書店では、だめです。Amazonで探そうとしても、ネタが入ってこないんですよ。

Amazonでは、何がだめなのか? どのようなデメリットがあるのか? それは「偶然の出会いがなくなる」ということです。みなさんは、Amazonで何か本を探そうとするとき、キーワードを打ち込んで検索しますよね?

そのキーワードは、誰が考えたキーワードでしょうか? 自分が考えて、思いついたキーワードですよね?

つまり、検索しても、「自分が考えたキーワードの結果」しか出てこないのです。しかし書店に行くと、自分が思いつかないキーワードがたくさん出てきますよね。そこで自分になかったもの、なかった情報、なかった切り口をインプットできるんです。Amazonで探すのと書店で探すのは、全然違います。

ぼくは、19歳のときから本を書いています。そして19歳のときから、ネタが思いつかなくなったら書店に行くことを実践しています。大きな書店でなくても構いません。小さな書店でも、たくさん本が並んでいますからね。

そこでいろんな切り口、いろんなキーワードを「言葉のシャワー」というとちょっと格好つけすぎかもしれませんが、そうやってシャワーみたいに言葉を浴びるんです。言葉のシャワーを浴びながら、「自分だったらどういう切り口ができるかな」と考えるんです。
そうすると、自然にいろいろな切り口が思い浮かんできます。思いつくというか、どんどん浮かんでくるんですよね。

このトレーニングはめちゃめちゃ重要なので、ぜひやってみてください。とにかく、ぼくらが本の切り口を探すために、何をしなければいけないか。それはリサーチではありません。リサーチではなくて、書店に行ってみることが大事です。

自分で世の中のニーズを調べようとしても、なかなかできませんからね。
実際にリサーチをやるのは、かなり困難です。ほとんどの人たちは、何となく検索してリサーチしたつもりになってしまっています。それだと、ほしい結果は得られません。とにかく、書店に行ってください。書店に行って、いつもと違う本を見てください。それがネタ作りに効く一番のトレーニングです。

ここで、やってはいけないことを紹介します。

多くの方がやってしまいがちな不正解のパターン、それは「先輩著者に聞く」というものです。既に本を出したことがある人に対して、アドバイスを求めてしまうんです。アドバイスを求められた方も優しいので、聞かれたら答えてくれます。ただ著者は、やはり「著者」でしかありません。出版業界のプロではないんですよ(就活でいえば、「内定を取ったことがある先輩学生」です。たしかに先輩の方が知識があるでしょう。でも学生は学生です。本当の情報を知っているのは人事部(企業)ですね)

出版業界を知っているのは編集者であり、営業であり、経営者です。著者は、出版業界の人が持っている知識の、10分の1も持っていません。いや、100分の1も持っていないかもしれません。ほとんど何も知らないと考えた方が良いです。それは仕方がないことです。別に著者を軽視しているわけではありません。著者と出版業界の人たちは、役割が違うのです。

著者は、コンテンツを出す人。そして出版社の編集者や営業や経営者は、出版業界の中でその本が売れていくように仕向けていく人、仕立てていく人です。著者は、出版業界のことをほとんど何も知らないと思った方がいいです。

もちろん著者は能力の高い人が多いですが、出版業界の実情を知っているわけではありません。著者に本について聞いても、何も正しい答えは返ってこないと思った方が良いです。ぼくらがやらなければいけないのは、「人に聞く」ではなくて「書店で見る」ことです。

書店には成果物があります。出版業界が認めたコンテンツの結果が並んでいます。それをぜひ見てください。ネタが思いつかなくなったら、すぐに書店に行く。そして他の本を読んでみる。その流れを作ることで、ぼくらのコンテンツ力は、徐々に上がっていくはずです。