ぼくのメルマガで前に配信した「ベストセラーの作り方」には、多くの反響をもらいました。

今回は引き続き「売り方」について解説していきます。今日のテーマは「棚の選び方」です。要は、書店でどこに置いてもらうか? です。

本が売れていくためには、ぼくらの本に興味がある読者に見つけてもらう必要があります。逆に考えると、ぼくらの本に興味を持ってくれる読者が集まる場所に置いておく必要がある、ということです。

どんなにニーズがあるテーマでも対象者がズレていたら興味を持ってもらえません。Aさん向けの本をBさんに見せても買ってもらえませんね。Aさん向けの本を作ったのなら、Aさんが集まる場所に置かなければいけません。

これを出版業界でいうならば、「どこの棚に置いてもらうか」という話になります

棚とは本棚の「棚」で、書店での置き場所のことを指します。出版業界ではあまり「ジャンル」という言い方をせず「棚」といいます。ダイエットの棚、営業の棚、自己啓発の棚など。

そして、対象読者が集まる「棚」に置いてもらうことが本が売れていくためにとても大事なんです。ただ、ここで難しいのは、その本がどこの棚に置かれるかを著者がコントロールできないということ。もっといえば出版社もコントロールできません。

棚を決めるのは書店員さんです。書店員さんが「パッと見」で決めます。パッと見で決めて、そこに並べます。出版社や著者に対して「ここに並べました」と連絡することもありません。だから実際には、どこに並んでいるかわからないんです。

著者と出版社ができるのは、パッと見で、意図した棚に並べてもらえるような本を作ることだけです。なんだか当たり前のように見えるかもしれませんが、これができずに全く売れなくなっている本が山ほどあります。

単純な話のように見えるのになぜできないのでしょうか? その理由は大きく分けて2つです。

1.欲張っちゃうから
2.かっこつけちゃうから

です。両方とも、嫌な表現ですね笑 でも実際にそうなんです。

どういうことか説明します。まず「欲張っちゃう」。何を欲張っちゃうのかというと、「こんな人にも手に取ってもらいたい」「あんな人にも買ってもらいたい」という感じで、読者対象を欲張っちゃいます。いろんな人にお役に立ちますよって言ってしまうんです。

もちろん本当にいろんな人に役立てるのかもしれません。でも、もしそうだったとしても、それは言っちゃいけないんです。ダイエットにも、恋愛にも、自己啓発にも、お金儲けにも役立つ本ですと書いたら、書店員さんはいったいどこの棚に置けばいいのでしょうか?

「全部の棚においてほしい」

そんな声が聞こえてきそうですが、それはもっと無理です。そもそもぼくらの本は1冊しか流通しない店舗が大半です。大手の書店には5冊、7冊、10冊くらい流通しますが、ほとんどの書店には1、2冊しか届きません。いろんな棚に置きたくても、そもそもモノがないんです。

だからどこかに決めなきゃいけない。でもパッと見でどこに置いたらいいかわからない。その時にどうするか? 面倒くさいから適当に置くか、返品します。

出版業界では一般的に「どこにおいていいかわからない本は売れない」と言われます。でも売れない以上に置いてもらえない可能性もあるわけです。まさに「二兎追う者は」なのです。

そして2番目の理由は「かっこつけちゃう」です。

かっこつけて変なタイトルにしちゃう、小説みたいなタイトルにしちゃう、よくよく考えないとわからないバズワードにしちゃう、などなど、「内容をストレートに表現したタイトルはかっこ悪いんだよなぁと感じる著者・編集者がやってしまうことです。

たしかに
『普通のサラリーマンが年収1億円になる』
という表現より
『億り人』
の方がなんかかっこよさげです。

ただ、ぱっと見で「億り人」の意味が分かる人は多くないです。もし手に取った書店員さんに意味が伝わらなければ、全然違う棚に置かれちゃうかもしれません。「小説」とか、「数学」とか、「宗教」とか。

かっこいい表現を使いたい気持ちはわかりますが、意味が伝わらないと元も子もないです。本が売れるためには、適切な棚に置いてもらうことが重要。そしてパッと見でその棚に置いてもらえるような作り方をするが大事です。


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