「これだけ成果を出したのに、これしかもらっていない」
「こんなに長く尽くしているのに全然評価してもらえない」
と考えていませんか?
ぼくもサラリーマン時代はそう考えていました。もっとも、ぼくの場合はそんなに優秀ではなかったので、見当違いだったということもありますが(笑)。
でも、たとえあなたがどんなに優秀でも、「今以上に給料をもらっていいはずだ」と考えるのは“勘違い”だったりします。怒らないでくださいね!ちゃんと理由を説明します。
結論から言うと、あなたの給料は、あなたが出した成果に基づいているわけではないからです。ここでは、なぜ給料が安く感じてしまうのか、給料はなぜこの金額なのか、そのロジックを解説します。
お店で売っている商品には、その値段を決めるロジックがありますが、給料の金額も同じです。例えば、あなたはいろいろな商品を買いますよね。その値段は誰が決めたのでしょう? そして、その金額が妥当である、と誰が決めたのでしょうか?
資本主義の世の中なのですから、売る人は自由に価格を決めていいのです。でも、市場の相場と大きくかけ離れた価格をつけてしまうと「ボッタクリ」と思われてしまいますよね。
例えば、想像してみてください。
あなたは砂漠の真ん中にいます。もう何日も水を飲んでいなくてメチャメチャのどが渇いている。その時に、500ml入りの水のペットボトルを売っている人が現われます。この水、もう文字通り「のどから手が出るほど欲しい」ですよね?
でもその人は言うんです。「1本10万円ですよ」って。それでもあなたは欲しいと思うはずです。カード決済でもできようもんなら10本でも20本でも買ってしまうかもしれません。
でも、納得して買うわけではないですよね? 命には代えられないから買うわけで、納得しているわけではありません。買いますが、「ボッタクリ!」って思いますよね。500mlのペットボトルの場合、ボトルがあって、水があって、水をきれいにするのにいろいろと作業があって、商品が出来上がっています。だからトータルいくらぐらいが妥当だろうな、という積み上げ式で値段が決まっているんですね。
砂漠の真ん中で何日も水を飲んでいない場合、1本10万円でも欲しい。だから買います。けれども、その労力を考えると10万円はおかしいでしょ、と判断するのです。つまり、商品の値段とか相場感とかは、その商品の役割とか、商品がもたらす効用や結果で決まっているわけではないんです。
商品の価格は、その商品を作るのにかかった原価で決まります。この値段のロジックに関しては、ぼくは声を大にして言いたい。まずは「労力がかかるからその相場となる値段が上がる」ということを押さえてください。
そして、商品の値段の決まり方と、労働力の価格、つまりあなたの給料の決まり方は一緒です。あなたの給料は、
「あなたという労働者を作り上げるのに必要な原価の積み重ね」です。
別の言い方をすると、
「あなたが明日も働けるようになるための必要経費」なのです。
ご飯を食べたり、寝たり、体力を回復させたり、ちょっとした娯楽も必要です。そういう必要経費を積み上げた結果、あなたの給料が決まります。裏を返すと、あなたがいくらの仕事をしているか、とか、どれぐらい会社の利益に貢献したか、ということはあまり関係ありません。
最近は少なくなりましたが、「年功序列」というのがありましたよね。年功序列とは、20代よりも50代の方が生活費が高い、ということです。なぜなら、家族が増えているかもしれないし、住宅ローンを払わなきゃならないかもしれない。つまり、明日も働くために必要な経費が増えているから給料が高い、それだけのことなのです。
これは逆に考えると実は怖いことです。例えば、社員食堂がタダ、という会社がありますが、これ、「あなた飯代要らないよね?」と言われているということです。するとどうなるか。社食がタダだから飯代は要らない、と、その分給料が下がることになるのです。
さらに今は、いろいろなテクノロジーで昔よりもお金がかからない生活になっています。
例えば、夏休みにどこへ行くか? 海外旅行なら20~30万かかりますね。でも今は、どこにも行かずに家でスマホゲーム、という過ごし方だったりする。
じゃあスマホゲームにいくらかかりますか? 1週間遊んでも1万円、となれば、あなたに必要な娯楽費として会社が給料に乗せるのは1万円です。
だから給料が上がっていかないのです。
世の中の物価が下がっていくというのは、消費者としては一見喜ばしいことですが、それが巡り巡って労働者の必要経費を下げる、ということなので、必ずしも喜べることではないんですよね。
給料を上げるには、あなたが働くための必要経費をどんどん上げて会社に認めてもらうこと。ここを理解しておかないと、努力の方向性を間違ってしまう。もしあなたが給料を上げたいのなら、このロジックをしっかりと押さえてください。