他に選択肢がなくなったとき、その選択肢への依存度が高まり、人は弱くなる。「これを逃したらNG」「ここでやるしかない」「いましかチャンスがない」と思うから、自分を削ってもそこにしがみつくことになっちゃう。そして追い詰められちゃう。

たとえば、ブラック企業が存在するのは企業側の責任と思われているけど、じつは根本的な原因は労働者が作っています。「この会社で働くしかない」と労働者が思っているから、どんな環境でも耐えなきゃって思うわけですよね。

労働者が他に選択肢を持っていたら「じゃあ辞めて他に移ります」と言えるわけで、企業もブラックにはできないわけで。そういう意味で、ブラック企業は「労働者が作っている」んです。

このブラック企業の話題に限らず、人は選択肢を他に持てなくなったときに一気に弱くなる。そして逆に、選択肢を持てる人は強くなります。職場が気に入らない時、別の会社に移る選択肢を持っている人は「だったら辞める」と言えますね。子供がいじめられているとき、最終的に転校を考えられる人は強く対処できます。

選択肢は人を強くする。

ただ実際は、「選択肢がない」のではなく、自ら選択肢を捨てている人、他の選択肢を見ようとしていない人が多いとぼくは感じています。ここしかない、今しかない、あなたしかいない(笑) そう決めつけているのは自分自身です。「初志貫徹」という言葉も、いまの時代には弊害になるかもしれません。自分の道を変えちゃいけないって意味になり得ますからね。

選択肢は自分で作れるし、自分で作らなきゃいけない。他のものでも大丈夫、今回を逃しても次にこういうチャンスがある、と思えるようになれば自分で[プランB]を持つことができ、一気に強くなります。

ぼくらが学ぶ大きな意義のひとつは、[選択肢を増やすため]だと思っています。学べば自分で選択肢を増やすことができる。与えられた選択肢だけでなく、自分で作り出すこともできる。

目の前の目標にコミットすることと、選択肢を一つしか持たないことは違う。目標にコミットして全力で頑張りつつ、常にプランBを持っていくのがいいんじゃないかな。この前、久しぶりに『カイジ』の映画を観ていろいろ思ったので書いてみました。