こんにちは、木暮太一です。
ぼくは日本で最大級の(というか最大のw)出版塾を主宰しています。

多くの受講生さんは日本にお住まいですが、海外在住の日本人の方も増えてきました。これまでは海外に住みながら日本で本を出すことはかなり難しかった。編集者が海外出張してまでその人の本を出したいと思い、出版社がそのコストを負担しなければいけないからです。

でもコロナで事情が変わりました。今では海外在住でも日本で本を出すことができます。ということで、今回は海外在住の日本人向けに、商業出版の段取りを説明します。

◆スケジュール全体像

本を出すときのステップは、こんな感じです。

1)出版企画書を書く
2)編集者にアプローチする
3)編集者と打ち合わせする
4)編集会議を通す
5)著者が執筆をする
6)編集者が編集をする
7)印刷・流通する
8)本が書店に並ぶ

この1~8でだいたい9か月~1年間かかります。

特に時間がかかるのが、

3)編集者と打ち合わせする
5)著者が執筆をする
6)編集者が編集をする

ですね。それぞれどんなことをするのか解説していきます。

編集者と打ち合わせする(これに1~2か月)

編集者と打ち合わせして、企画の内容を詰めていきます。ここですんなり決まれば早いですが、なかなか決まらないこともあります。特に著者が自分目線になってしまっていたり、自分のコンテンツを言語化できないとめちゃくちゃ時間がかかります(場合によっては、編集者に飽きられて出版の話がとん挫することもあります)。

しかも、海外在住となると、打ち合わせはZoomが基本です。Zoomでコンテンツのやり取りをするのは対面で打ち合わせするより何倍も難しいです。これ、マジで難しいです。甘く見ちゃいけないやつです。

もちろん形式上はZoomで打ち合わせできます。でも、編集者が知りたい内容を伝えられる著者はかなり少ないのが現状です。Zoomで打ち合わせする前に、しっかり準備して編集者が知りたいポイントを整理しておく必要があります。

著者が執筆をする(これに3~4か月)

著者がなかなか原稿を書けないケースがあります。そして、原稿が書けなくても、編集者からのサポートやアドバイスが受けられないことがほとんどです。
編集者は書いた原稿に対して修正案を出すことはありますが、「原稿が書けない」という悩みにはほとんど何も言ってくれません笑 編集者は著者が出した素材を加工・調理する役でして、素材が出せない人に対しては何も言えないし、何も言わないのです(そしてそのままフェイドアウトです)。

著者が海外にいると、ますます疎遠になる傾向があります。著者自身に執筆のアドバイスをくれる友人がいればいいですが、そうでないとかなり孤独になってしまいます。日本にいると、周りで本を出している人がまぁまぁいるので、その気になればランチのついでに悩みを聞いてくれるかもしれません。でも海外にいるとそれも難しいですね。

原稿を書く作業はマラソンのように、かなりの長距離レースです。普段メルマガを書いていたり、ブログを頻繁に更新している人でもなかなか書けません。それは短距離走だからです。

ちなみに「原稿を書ける人=文章の才能がある人」ではありません。原稿は書き方があります。その書き方を知識として持っている人はだいぶ楽に書くことができます。ぼくも最初の本は書き上げるのに2年以上かかりましたが、今は書き方を知ったので1冊書き上げるのに1週間もかからなくなりました。要は書き方を知っているかどうかです。

そして、原稿の書き方を指導してくれる人をぜひ見つけておいてください。

編集者が編集をする(これに2カ月程度)

あなたが出した原稿を編集者が編集をします。編集の仕方は本当に「人それぞれ」で、著者の原稿にかなり手を加えて、相当な量の加筆&修正を依頼してくる編集者もいれば、まったくと言っていいほど原稿に修正を加えない編集者もいます。

どっちがいいというわけではありません。ただ、本のクオリティはやっぱり「向き合った熱量」に比例して高くなっていきます。なので、少なくとも著者自身は何度も何度も自分の原稿を読み、クオリティを高くできるように頑張る必要があります。

日本の出版業界は、良くも悪くも「ゆるい」です。そして、事前に決めたスケジュールもそれほど真剣に守ろうとは思っていません(そこがいいところでもあるんですけどね)。仮に著者が締め切り通りに原稿を出しても、編集者がゆったりしすぎることもあります。編集者もあなたの本だけを手掛けているわけではなく、同時にいろんな本を進めています。距離的に近い著者の場合は編集者も「ちゃんとやらなきゃ」と意識することが多いですが、編集者の中での「マインドシェア」が小さい著者はどうしても後回しになりがちです。

ここを解決するためには、定期的に連絡を取ったり、SNSで繋がって自分を思い出してもらったりすることが大事。ネットの時代とは言え、物理的な距離がある場合、どうしても関係性が薄くなってしまうことがあります。ここは気を付けたいですね。