「本を出したいなら「出版コンサルタント」「出版プロデューサー」のところに行った方がいい。」
そんなことを言われたこともあるかもしれません。実際、本を出したい人が自分一人で独自に頑張っても、なかなか出版に至りません。ぼく自身も学生の時から作家活動をしていますが、最初は自分で作って、自分で本屋さんに売り込んで置いてもらう自主製作スタイルでした。いわゆる商業出版ができたのは、最初の本を出してから10年以上がたっていました

なについても同じかもしれませんが、我流でやると時間がかかっちゃうんですよね。

なので出版プロデューサーにコンサルしてもらったり、出版塾に通ったりするのは一つの大きな選択肢です。ただし、ひとくちに「出版プロデューサー」と言っても、いろんなスタイルがあります。要は「やってくれる内容」が全然違うんです。なので、今回の時期では出版プロデューサーの種類と、それぞれのメリットデメリットをまとめてみます。

まず、出版プロデューサー・出版塾には大きく分けて4つのタイプがあります。

1)コーチング型
2)営業代行型
3)企画コンサル型
4)総合型

の4つです。それぞれ順番に解説していきますね。

1)コーチング型

まず1つ目は、コーチング型です。
ケースとしては多くないですが、たまにこの「コーチング型」で出版コンサルティングのサービスを提供されている方がいらっしゃいます。

コーチング型とは、そのままですが「あなたにコーチングしますよ」ということです。あなたにコーチングして、あなたがどんな本を出したいかを明らかにしますよ、というスタイルです。

なんとなく本は出したいけれども、何を語っていいわからないという方がこのコーチングを受けると、「私はこんなことが言いたかったんだ!」とクリアになります。そういう意味で、自分のコンテンツや専門性が明確になっていない人に有益なサービスです。

しかし一方で、デメリットもあります。そのデメリットとは「出版社が採用したくなる企画になるとは限らない」ということです。
自分が書きたい本の内容は明らかになるかもしれません。でも出版社はあくまでも「読者が求めているもの(売れるもの)」を求めているわけであって、「著者が言いたいこと」を本にするわけではありません。

ですから、自分が言いたいことをまとめられたとしても、その方向性が認められる保証は1ミリもないということです。

自分の一存で本が出せる自費出版や、電子書籍(キンドル本)を仕上げたいときには、すごくいいサービスだと思います。

  • メリット :自分が書きたい内容がクリアになる
  • デメリット:出版社が評価する企画になるとは限らない
  • どんな人向け?:自分が書きたい内容がわからない方、電子書籍(キンドル本)を出したい方
提供されているサービス名称/提供企業(例)
一凛堂 https://www.ichirindou.com/publishing.html
CREATE BOOKS  https://createbooks.jp/

2)営業代行型

そして2番目は、「営業代行型」の出版コンサルティングです。この言葉の通り、みなさんの代わりに出版社に営業代行してくれるサービスで、要はみなさんが作った出版企画を、代わりに出版社に売り込んでくれるサービスです。

営業代行をしてくれるコンサルタントさんが、みなさんの企画を出版社に持ち込んでくれますので、皆さんはその方に企画を預けるだけでいい。
「自分で書きたい内容はあるけど、編集者の人脈がない」「自分で出版社に売り込むのは、なんかハードルが高くてできない」という方向けのサービスです。

ただし、この形態の出版コンサルの場合、多くのケースでは企画のコンサルティングをしません。出版する企画は、みなさんが自分で考えなければいけませんし、その際に有益な相談はほとんどしてもらえないことが通常です。

また、この出版コンサルタントがつながりを持っている編集者に売り込みますが、逆にいえばそれ以外の編集者には売り込めないので、一本釣りできるくらいのクオリティが高い出版企画に仕上げておく必要があります。

自分ひとりで出版社が飛びつく企画を作れる方であれば、省エネで出版を実現できるサービスと言えるでしょう。

  • メリット :出版社への売り込みを自分でしなくていい
  • デメリット:企画自体は、自分でしっかり仕上げないといけない
  • どんな人向け?:自分だけで出版企画が作れる方、忙しくて営業を代行してもらいたい方
提供されているサービス名称/提供企業(例)
企画のたまご屋さん https://hon-tama.com/
著者の企画を数百~1000名程度の編集者にメールで一括送信してくれます。
有限会社インプーブ  http://imprve.com/

3)企画コンサル型

経済を回すって、こういうことかもしれません

3つ目が「企画コンサル型」です。出版プロデュースというと一般的にはこの「企画コンサル型」を指します。

この出版コンサルサービスを受けると、講師がみなさんに出版企画の作り方をレクチャーします。自分が書きたい内容を出版企画にするとはどういうことか、そもそも出版企画はどのように作るのか、などを教えてくれます。

それにもとづいてみなさんが自分の企画を作ります(たまに講師が個別にみなさんの企画を添削して、直してくれるケースもあります)。自分が書きたい分野は決まっている、でもそれを「出版企画」にできないという方がこのコンサルを受ければ、自分の出版企画をより固めることができるでしょう。

そしてコンサル後には、主催者が集めた編集者を前に企画のプレゼンができるケースがほとんどです。自分の出版企画を直接編集者にプレゼンでき、とても満足度が高い場になってます。

一方で、この企画コンサル型の出版コンサルティングでは、出版社への営業が手薄になります。たしかに自分の出版企画を作った後に、編集者を前にして直接プレゼンができます。

でも、あなたの話を聞いてくれるのは、その場にいる編集者のみです。人数は多くて20~30人です。日本には編集者は数千人(もしくは数万人)いるんです。それぞれが自分のアンテナで企画を探していますので、Aさんが「面白くない」と感じても、Bさんは「すごくいい!」と言ってくれたりします。

20~30人にしか自分の企画を見てもらえず、残りの数千人の編集者には企画の提案ができません。しかも、そのプレゼンの場は1回しか与えられないことがほとんどなので、「チャンスは1回」です。いくら企画を磨いても、好みが合わなければすべて台無しになってしまうリスクがあります(かなり大きいリスクです)。

もちろん、誰もが認めるような企画を作ることができたら、20~30人の編集者の中からでも、みなさんの企画を本にしたいと思ってくれる人は出てきます。万人受けするテーマで、万人受けする実績を持っている著者向けのサービスです。

  • メリット :企画の作り方を教えてもらえ、企画も磨いてもらえるかもしれない。
  • デメリット:一部の限られた編集者にしか売り込めない。チャンスは1回のみ。
  • どんな人向け?:メジャーテーマのコンテンツを持っている方、少ないチャンスを活かせる本番に強い方。
提供されているサービス名称/提供企業(例)
ブックオリティ https://bookquality.co.jp/
こんまりさんの本を手掛けた元サンマーク出版のタカトモ編集長が主催する出版コンサルです。
ネクストサービス http://next-s.net/

4)総合型

そして最後が「総合型」です。
総合型の出版コンサルティングは、出版企画の作り方から、企画の磨き方、出版社へのアプローチ方法、本の書き方・売り方までトータルで指導するコンサルティングです。

※ちなみにぼくが提供しているのは、この「総合型」です。

出版を実現するための活動は、就活に似ています。
就活で内定をもらうためには、自分を磨かなければいけません。自己分析をしたり、自己PRを企業に評価してもらえるような言い回しで仕上げたり。「学生」のまま面接に臨んでもおそらく内定はもらえないですね。
でも一方で、自分を磨きさえすれば企業側からあなたを見つけてくれるわけではありませんね。自分からエントリーをしなければいけません。自分と企業のお互いが相思相愛になれるような企業を探し、自分からエントリーしていかなければいけません。

このエントリーの仕方、そして面接での対応の仕方まで教え、できるようにならなければ内定はもらえないでしょう。

出版も一緒です。自分(のコンテンツ)を磨き、さらに企業(出版社)にエントリーする方法を身に着けてもらうことが、出版をするうえで必須なんですよね。
それら必要なすべての段取りを、すべて教えて身に着けてもらうのが「総合型の出版コンサルティング」です。

この「総合型」の場合、自分の企画がまだ固まり切っていない場合でも問題ありません。ニッチなテーマで本を出したい人も問題ありません。企画の磨き方も、自分に合った企業にエントリーする方法も教えるからです。
そういう意味で、どんな著者にもメリットがある形式と言えます。

ただ、この「総合型」にもデメリットはあります。そのデメリットとは、「ある程度、自分も頑張らなきゃいけない」ということです。

営業代行型では、出版のコンサルタントさんがあなたの代わりに営業してくれます。
企画コンサル型でも、あなたはプレゼンの場が与えられます。

総合型では、その出版社への売り込み(エントリー)も自分でできるようにしますので、そこは多少労力が必要です。1カ月の間に1時間も自由な時間がないという方や、全部誰かにやってもらいたいという方には不向きかもしれません。

  • メリット :出版を実現するためのすべてのステップを身に着けられる
  • デメリット:忙しすぎる人には不向きかも
  • どんな人向け?:自分にぴったりの出版社を探したい方、自分の可能性を最大に生かしたい方
提供されているサービス名称/提供企業(例)
木暮太一の出版講座 https://matomabooks.jp/publish/
アップルシードエージェンシー https://www.appleseed.co.jp/
※アップルシードエージェンシーさんは厳密にいうと作家のエージェントで、出版コンサルではありません。

動画でも解説しています

出版プロデューサー、出版塾のタイプについて動画でも解説しています。この動画も確認して、あなたにぴったりのところをぜひ見つけてください。