独立してビジネスをやろうとする人のほとんどは、サラリーマンとして頑張って実績を上げてきた人です。そしてその多くが、手に職を持っていて、自分の得意分野でビジネスを作ろうとします。要は、自分自身がプレイヤーとして成功してきて、独立後も自分がプレイヤーになって稼ごうとしています。
そして、ここ数年で増えている「ひとり起業」はさらにその傾向が強いですね。自分で培ったノウハウをもとに、コンサルタントやセラピストとして独立している人がたくさんいます。「好きなことで起業する」という想いで独立した人も同じですね。
もちろんそれが悪いことではありません。ただその流れで起業する場合、どうしても自分が前面に立ってプレイヤーとして活動しなければいけません。言い換えると、仕組みで稼ぐのではなく、自分が走り回って稼ぐことになる、ということです。
繰り返しになりますが、それが悪いわけではありません。ぼくが言いたいのは、自分で実績を出してきたプレイヤーは、なかなか他人に任せることができず、仕組みを構築することができないということです。
自分ががんばってきて磨いてきたノウハウです。そのノウハウと腕が評価されて仕事をもらってきましたね。ご自身の中では、「他には負けない」「一緒にされたくない」くらいの強さで考えていると思います。その誇りと自信は、自分でビジネスをするときには大きくプラスになりますね。
しかし一方で、その誇りと自信が誰かに代わってもらうことを難しくします。自分だからできたわけだし、自分だから差別化できたし、自分だからクオリティ高いサービス提供できたと思っています(そして、それは事実だと思います)。だから人に任せられず、組織を構築することができない。いわゆる経営者になることができないんです。
じつはぼく自身もそのタイプです。ぼくは19歳から出版業界にいますし、26歳の時から出版社を経営してきました。これまでの経験をもとに受講生に本の出し方を教えていますし、世の中に評価されるコンテンツ作りをコンサルティングしてきました。この講師を誰かほかの人に任せられるかと聞かれると、やはりかなり抵抗があります。
著者として長い経験があり、編集者としても実績があり、出版業界の営業とマーケティングがわかっていて、しかもそれを業界初心者の方にゼロからわかりやすく伝えることができる人……。こう考えてみると、「やっぱりぼくが自分でやるしかない」という結論に落ち着きます。
だからぼくは自分が主催している出版塾を組織化することをあきらめ、自分でやり続けることにしました。
自分の腕で勝負をしてきた人は、多かれ少なかれ「自分じゃないと」という意識があると思います。そのため、組織を作ることが難しくなります。
とはいえ、いつまでもこれまで通り自分が奔走していると、限界があります。売上にも限界がありますし、自分の体力にも限界が来てしまいますね。だから組織を作るのではなく、別の方法が必要なんです。
ぼくは組織を作る代わりに、過去の労力をストックしていく手法に行きつきました。要はストックビジネス化させるということです。過去の自分の労力を蓄積し、それを活かしてビジネスをすることができれば、ぼくひとりでも大きなビジネスができるようになります。また、「過去」を使って稼ぐことができるので、毎日奔走する必要はありません。
組織を作るだけが拡大方法ではありません。ストックビジネス化戦略を取り入れていかれる人は自分の個性と得意分野をそのまま活用しつつ、これまでのビジネスを拡大させていかれます。