先日、ある本を読みました。興味がある分野だったので、中身を見ずに買いました。結果的に、その本は「著者のサービスを宣伝するための本」でした。
もちろんそれを否定はしません。自分の知名度を上げるために書籍を「活用」することは多々ありますし、同時に本の中にすべてを書けるわけではないので、「続きはWebで」的な展開になることも、ある意味で仕方がないからです。
でも、その本はだいぶ失敗でした。オリジナルのノウハウがほとんどなかったんです。
その本は非常に基本的なことの解説で、正直なところぼくが知らなかった情報はありませんでした。ただぼくが失敗だと思ったのはそこではありません。簡単なことしか書いていないからいけないのではなく、著者オリジナルの手法や理論がまったく書かれていないことが問題だと思うんです。
これでは著者に対する信頼はガタ落ちです。この著者の宣伝になるどころか、この著者はこれだけのことを紹介して終わりか、という悪い印象をつけてしまいます。
本を使って知名度を上げたい、ブランディングしたいと考えることは問題ありません。むしろどんどん使うべきだと思っています。でも、(いい意味で)知名度が上がったり、ブランディングになったりするのは、その本を読んで著者を「この人すごい!」と思うからではないでしょうか?
この人すごい! もっとこの人の話を聞きたい! と思うから、「次」につながると思うんです。
人脈を作ろうとして、異業種交流会で名刺交換をしても何も意味がありません。自分は相手のことを覚えているかもしれませんが、相手が自分のことを覚えていないからです。
人脈とは、自分が相手を知っていることではなく、相手が自分のことを知っていることで形成されます。
もっといえば、相手があなたと関わりを持ちたいと思うことが「人脈」です。相手があなたと関わりたいと思うから、こちらが何かしようとしたときに力になってくれるわけです。
そしてそして、相手が自分と関わりたいと思うのは、「あの人と関わるとメリットがある」と思うからです。つまり、ぼくらが相手に何かメリットを提供できるから「人脈」が成立するんです。
自分の本を読んだ人が「この著者と関わりたい」と思うことが、次につながるための必須要素です。本を出し方からお客さんが集まってくると考えるのは、壮大な勘違いと言わざるを得ません。
とはいえ、「本にすべてを書いてしまったら本業で語ることがなくなってしまう……」と不安になる人もいます。おそらく今回の本の著者もそうなのでしょう。そして、「おいしいところは、講座に来てもらったら教えます」というという感じでしょう。
すべてを本で語れるわけではないので、そういう要素があっても構わないのですが、本で何も語らないのはいけません。本で何も語らなければ、逆に評判を下げてしまいますね。
では、どうやればいいのでしょう? 本でしっかりノウハウを出さないと信頼してもらえない。でも本に書いちゃったら、セミナーに人が来なくなってしまう。
すみ分ければいいんです。本で語るテーマと、セミナーで語るテーマをすみ分ける。すみ分けの仕方はいくつかあります。
まず簡単なのは、テーマを分ける事。すべてのテーマについて本でちょっとずつ出すのではなく、本で語る要素は全部を本で語るんです。そして、本で語らないテーマをセミナーで語るんです。そうすれば、そのテーマに関してはちゃんと教えられるので、読者に価値を提供できます。読者も満足しますね。
他にもすみ分けの仕方があります。ここでは長くなるので、ぼくのメルマガで今後「本と本業をすみ分ける方法」について解説していきます。このすみ分けの考え方がわかれば、本にノウハウを出し惜しみすることなく、さらに本業のセミナーにも興味を持ってもらえます。
集客につなげるためにノウハウを出し惜しみすると、その本は逆ブランディングになってしまいます。そうならないために、すみ分けていきましょう。