こんにちは、木暮太一です。
今日も出版の裏側についてお話していきます。

さて、今日のテーマは「コンテンツ」と「売れるコンテンツ」の違いについて。
この違い、意外と見落とされがちなんですが、とても大切なポイントなんです。

「良いコンテンツ」=「売れるコンテンツ」ではない?

「えっ、それって同じじゃないの?」って思った方もいるかもしれません。
でも、これ――一緒じゃないんです。

どれだけ人に「欲しい!」と思ってもらえるコンテンツでも、それがお金を払ってもらえるコンテンツかどうかは別問題なんです。

つまり、どんなに興味を持ってもらえたとしても「それにお金を払うかどうか」はまた別の話だということ。
この違いを意識せずにコンテンツを作ってしまうと、ビジネスとして成り立たなくなってしまう可能性があります。

欲しい=買う ではない

たとえば、「欲しい!」と言ってくれる人がいたとしても、その人が「無料で欲しい」と思っているのなら、その人とはビジネスが成立しません

もちろん、ときには無料で何かを提供することもあるかもしれません。
ですが、基本的にビジネスというのはお金をいただいて価値を提供すること
これは基本中の基本です。

「そんなの当たり前じゃん」と思うかもしれませんが、この「良いコンテンツ」と「お金をもらえるコンテンツ」の違いを意識していない人が、意外と多いんです。

「お金がもらえるコンテンツ」とは何か?

みなさんは、何だと思いますか?
「良いコンテンツ」と「お金がもらえるコンテンツ」の違い。

たとえば――

  • みんなが欲しがる内容
  • 最先端の理論
  • 気づかれていない独自の視点

…など、これらは「良いコンテンツ」と言えます。
でも、それがお金を生むかはまったくの別問題なんです。

実例:読書感想文講座の話

僕はコロナ前まで、全国の小・中学校にボランティアで行って、作文の書き方を教える授業をしていました。
もちろん、交通費・宿泊費も含めてすべて自腹で。
単純に、子供のころに読書感想文が書けなくて苦労した経験があったから、同じように悩んでいる子やお母さんたちの力になりたいと思っていたんです。

学校ではとても喜んでもらえました。

でも、夏休み中は学校で授業ができないので、地元のカルチャーセンターで有料講座として開催していたんです。
すると、「なんで有料なんですか?」という質問や、ほぼクレームのような反応が来るようになったんですね。

「有料」に対する違和感の正体

たとえば、受講料は1人あたり2,400円で、僕に入るのはその1/3、約800円。
交通費を入れたら、ほぼ赤字です。

にもかかわらず「なぜお金を取るのか?」という反応が結構な頻度で返ってくる。

これは何が問題かというと「お金を払ってきた経験がないジャンル」だからなんです。

公衆トイレと同じ構造

似たような話があります。
最近では、公衆トイレに「維持費として100円お願いします」という場所もありますよね。
でも、それに対して怒っている人もいます。

なぜかというと、「トイレは無料で使えるもの」という前提があるから。

経験として、お金を払ったことがないものにはお金を払いたくない。
つまり「欲しいけどお金を払いたくない」状態になるんです。

コンテンツが商品になる条件

繰り返しますが、これは悪意があるわけではないんです。
単に「慣れ」の問題です。

僕らがコンテンツを作るときに考えるべきなのは、「そのジャンルにお金を払ってきた経験があるかどうか」ということ。

たとえば、学習塾。
これはみんな「お金を払うもの」だと認識しています。
だから成り立つ。

でも、読書感想文の書き方講座となると「それは学校で無料でやるもの」という認識があるから、お金を払いたくないという声が出てくる。

本にも当てはまる「お金を払うジャンルかどうか」

出版も同じです。

「これってYouTubeで見ればいいじゃん」
と思われてる分野は、本になっても売れない。

過去に「書評をまとめた本」の企画を提案されたことがありました。
「人気ありますよ!売れますよ!」と力説されましたが、僕は断りました。

なぜか?
書評欄自体には、お金を払って読むものという認識がないからです。
新聞にお金を払っていても、書評欄に追加でお金を払っているわけではない。

つまり、いくら良いコンテンツでもそれにお金を払う文化がなければ売れないんです。

お笑い芸人の本が売れなくなった理由

お笑いの本も同じです。
昔はネタ本がよく売れていました。
でも今はYouTubeやInstagramなど、無料で面白いものが見られる時代。

「なんでお笑いを見るのにお金がかかるの?」と思われるようになってしまった。

だから今では、お笑いのネタ本は売れなくなっているんです。

最後に:あなたのテーマは「売れるジャンル」ですか?

大事なのは、「お金を払うジャンルかどうか」

  • 内容が良い
  • クオリティが高い

これだけではダメなんです。
「お金を払ってきた経験があるかどうか」が決定的に重要です。

つまり、商品になるかどうか本になるかどうかもそこにかかっている。

あなたの企画テーマは、読者がすでにお金を払ってきた分野でしょうか?
今もなお、お金を払っているジャンルでしょうか?

ぜひ一度、考えてみてください。

この記事のまとめ

「いいコンテンツだから売れる」は幻想です。
どれだけ役に立つ内容でも、どれだけニーズがあっても、
「お金を払ってまで手に入れたい」と思ってもらえなければ、それは“売れるコンテンツ”にはなりません。

売れるコンテンツに必要なのは、そのジャンルにお金を払う文化や慣れがあること
つまり、過去にそのジャンルにお金を払った経験があるかどうか、という点が決定的に重要です。

人は、「お金を払ったことがあるジャンル」に対しては、違和感なくお金を払います。
逆に、「お金を払ったことがないジャンル」には、無料を前提として接するのです。

コンテンツを“売れる商品”にするには、「いい内容かどうか」だけでなく、その内容に対してお金を払う土壌があるかどうかを見極めることがカギになります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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どこが違う!? いいコンテンツvs売れるコンテンツ