はじめに

こんにちは、木暮太一です。
今日も、出版の裏側についてお話していきます。

だいぶ花粉も落ち着いてきて、体調も良くなってきた人が多いんじゃないかなと思います。
気温もあたたかくなってきましたね。

さて今回は、「出版社ごとに異なる“売れる戦略”」というテーマでお届けしていきます。

出版業界では、
「本が売れるかどうかは、その内容で決まる」
……と思われがちです。

でも、実際はそれだけじゃありません。
内容が良くても売れない本はたくさんあるし、逆に「普通の内容でも大ヒット」する本もあります。

では、何が違うのか?

答えは「出版社の戦略」なんです。

出版社によって“売れ方”は全然違う

意外と知られていないんですが、同じような本でも、
どの出版社から出すかで売れ方がまったく違ってきます。

たとえば、ベストセラーが出たとき、
「この著者のコンテンツが素晴らしかったんだな」
と考える方が多いはずです。

逆に、売れなかった本を見て、
「あの人の本、やっぱりイケてなかったんじゃない?」
なんて言われたりもします。

でも、それは必ずしも正しくない。

出版に携わっていると、「内容が良ければ売れる」とは限らないというのがよくわかります。

売れるために必要なのは「内容」だけじゃない

もちろん、内容が良いことは最低限の前提条件です。
でも、内容が良い=売れる、とは限らない。

じゃあ、何が必要なのか?

そこに大きく関わってくるのが、出版社ごとの“刷り方”や“戦略”の違いなんです。

出版社は「3つの型」に分かれる

出版社の戦略は大きく分けて3つの型に分類できます。
特に注目すべきなのは、次のような点。

  • どれくらいの部数を刷るか
  • どんなタイミングで増刷をかけるか
  • そもそも“本気で売る気があるのか”どうか

ここ、本当に差が出ます。

ある出版社は大量に刷って本気で展開してくれますが、別の出版社は「在庫切れ」にすら気づかないこともあります。

在庫が切れてるのに放置。
当然、増刷もされない。
これ、結構よくある話なんです。

圧倒的に強いのは「ダイヤモンド社」

ズバリ言います。
最強の出版社は、ダイヤモンド社さんです。

僕も2009年からお付き合いさせてもらってますが、営業の方々も優秀だし、特にトップ層は戦略家。
ほんとにすごい。

ダイヤモンド社の特徴は、とにかく「刷る」こと。
しかもそのスピードが異常。笑

増刷のペースが速い。
刷る数も多い。
だから市場に出回る本の数が圧倒的に多くなって、目に触れる機会が増えて、また売れる…という好循環が生まれる。

実際、ある書店のビジネス書ランキングでは、10冊中7冊がダイヤモンド社の本だったという週もありました。

これ、たまたまじゃないです。
完全に“戦略”としてやってる結果なんです。

印税の仕組みも出版社によって違う

ここでちょっとマニアックな話ですが、「印税の支払い方式」も戦略に大きく関係しています。

出版社によって、印税の支払いには2つのタイプがあります。

① 数理印税(刷った分の印税を即支払い)

たとえば1万部刷れば、その1万部分の印税を、即座に著者に支払うという方式です。

著者にとってはかなりうれしい。
「売れてなくても刷ればもらえる」ので、安心感があります。

② 実売印税(売れた分だけ印税を支払い)

逆に1万部刷っても、実際に売れた分にしか印税は発生しません。

出版社からすると、印税の支払いリスクが減るので増刷しやすい。
だから、たくさん仕掛けてガンガン増刷してくれます。

数理印税より実売印税の方が「増刷しやすい」

これ、著者からすると意外かもしれません。

「実売印税なんて損じゃない?」って思うかもしれないけど、
実は出版社にとっては“増刷しやすい”構造なんですよ。

数理印税だと、刷った瞬間に印税が発生する。
これは出版社にとっては、先にお金が出ていく仕組みなので、正直しんどい。

だから、慎重になる。
「もうちょっと様子を見ようかな」ってなる。

一方で実売印税なら、売れた分だけ印税を払えばいいので、リスクが低くなる。

結果的に、たくさん仕掛けてもらえる=売れやすくなるというメリットがあるんです。

出版前に見極めたい「出版社の戦略と姿勢」

本を出版する際、著者にとって大切なのは、
その出版社がどんな戦略を持っているか、どれだけ本気で売ろうとしてくれるかを見極めることです。

具体的には、次のようなポイントが重要です。

  • 初版でどれだけ刷ってくれるのか
  • 販売に向けた広報・営業の体制はどうか
  • 印税の仕組みはどちらなのか(数理印税 or 実売印税)

これらを総合的に見て判断する必要があります。

特に、印税制度は出版社側の“攻め方”に直結します。
実売印税の出版社は、売れ行きを見ながらどんどん増刷してくれる傾向があるので、結果として読者の目にも触れやすくなります。

そうした観点で見ると、やはりダイヤモンド社は信頼感が抜群
戦略、スピード感、営業力、そのどれをとっても、著者にとっては非常に頼れる存在だと実感しています。

この記事のまとめ

本が売れるかどうかは、単に内容の良し悪しだけで決まるものではありません。

実際には、どの出版社と組むか、そしてその出版社がどのような戦略を持っているかが大きく影響します。
内容が素晴らしくても埋もれてしまうこともあれば、戦略次第で“普通”の内容でもベストセラーになることだってあります。

中でも、ダイヤモンド社のように積極的に増刷をかけ、市場に本を流通させる出版社は特に強いと言えるでしょう。
さらに、印税の仕組み――数理印税と実売印税の違いも、本の売れ行きに直結する大事な要素です。
印税方式ひとつとっても、出版社側の増刷へのスタンスが変わってくるのです。

だからこそ、出版を考えている人にとっては、「どの出版社と組むか」を慎重に見極める必要があります。

戦略性、刷り方、印税制度――この3点をよく確認することが、本を“売れる本”にするための重要な鍵になるのです。

いかがでしたでしょうか?
出版の裏側を知ることで、本の売れ方がまったく違って見えると思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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