こんにちは、木暮太一です。今日はいただいた質問にお答えします。商業出版に関するアドバイスをしていると
「編集者は何人、紹介してもらえますか?」
と聞かれることがあります。期待されている答えと違うと思いますが、結論としては「0人」です。ぼくは誰も紹介しません。なぜぼくが編集者を紹介しないのか。ぼくが編集者を紹介しない理由は簡単です。
ぼくが編集者を紹介するというやり方だと、なかなか出版に至らないからです。
一般的な出版塾や出版コンサルタントは自分の知り合いの編集者に著者を紹介します(著者が書いた企画書を持って行きます)。これはその方のやり方なので、ぼくがとやかく言うことではないです。でもこれって「エージェント」としての役割をどれだけ果たせるのか、かなり疑問が残ります。
転職エージェントで、「知り合いの会社に履歴書持って行く」はあり得ません。
出版ではなく転職活動のエージェントに置き換えて考えてみます。
あなたが転職活動をしています。そして、転職サイトに登録します。ぼくは2回転職しましたが両方ともエージェントに登録して企業を紹介してもらいました。
転職活動をするときには、これまでの仕事の実績や自分の強みなどを職務経歴書と履歴書に書きます。要は、自分の「コンテンツ」を必死に磨きそれを資料にして、会社に売り込むわけです。そういう点では、出版企画を出版社に売り込むのとまったく同じイメージですね。
でもここでエージェントが、こう言ったとします。
「履歴書ありがとうございます!これから私の知り合いの会社に、どんどん売り込みます!」
・・・・
・・・
・・
なんか変じゃないですかね。
「え、知り合いにだけ?」
「え、他の人には?」
「え、そもそも知り合いの方って、私の能力を評価してくれる業界なの?」
そう感じませんか?
もちろん、その知り合いの方があなたの能力を高く評価してくれる可能性もあります。でも一方で、見当違いな会社に売り込んでいる可能性も十分ありますよね。
転職が成功するためには
1.自分の能力や「強み」を言語化し
2.それがほしい会社に提案する
それが必要です。どれだけ能力が高い人でもその能力を欲しいと思っている会社に提案しなければ採用されません。そりゃそうです。
出版も同じです。
1.クオリティが高い企画書を作り
2.その企画を好む編集者に案内する
ことが必要です。
転職活動で、そのエージェントの知り合いにしか履歴書を送らないとしたら、転職の成功率はかなり下がります。また仮に成功したとしても、自分の実力を本当に理解してもらっているのかビミョウなところです。
世の中に出版社は4000社あると言われているんです。そしてそれぞれの出版社がそれぞれの視点でコンテンツを探しています。それだけたくさんの可能性があるんです。
出版を実現させるために必要なのは、
1)企画を磨くこと
2)その企画を気に入ってくれる出版社・編集者にアプローチすること
エージェントが自分の人脈に企画書を持ち込むのであれば、あなたの本が出版できるかどうかは、そのエージェントの人脈次第になっちゃいます。そして人脈が尽きた瞬間に「ダメでした」となります。本当はエージェントの手札がなくなっただけなのに、あなたのコンテンツがダメだったみたいな感じになっちゃってます。これはすごくおかしい。
大事なのは、エージェント側の人脈以外にも「販路」を拡げて、取引の可能性を1ミリでも上げる事だと思うんです。だからぼくは編集者を紹介しません。編集者を紹介する代わりに、著者が自分自身で自分に合った編集者に出版企画を提案できるやり方を教えています。
ぼくも出版業界で25年やってますので、多くの編集者の知り合いがいます。でも、ぼくの知り合いの編集者があなたの企画を気に入るとは限りません。
ぼくの受講生さんがスーパーニッチなテーマでも本を出していくのは、そのスーパーニッチなテーマを評価する編集者を見つけられるからです。ニッチなテーマを評価する編集者さんはこの業界に25年いるぼくもあまり出会ったことがありません。つまりぼくの人脈ですべてのニッチ分野を網羅することは不可能です。
エージェントの「紹介」に頼っていたら本を出せる確率は格段に低くなります。自分の企画にマッチする編集者を見つける力を身に着ける方が圧倒的にいい戦略です。
だからぼくは編集者を紹介しないんです。
出版を実現させたいなら、自分を評価してくれる編集者を見つけられなければいけません。だからぼくは業界では誰もやっていないぼくのやり方をお伝えしているんです。