こんにちは、木暮太一です。
今回は、本の原価について話をします。

本を出版する著者は、
自分の本にどれくらいお金がかかっているかを
知っておいた方がいいですね。

たとえば、自費出版にかかるお金は300万円程度が相場です。
ただ、有名な出版社に依頼すると、
その倍の600万円~1000万円くらいかかるケースもあります。

本を作るのにいろいろなコストがかかるからという話ですが、
原価(制作費)だけ考えれば、こんなにお金はかかりません。

では、1冊の本を作るのにどれくらいお金がかかるか、
今日はそれを解説していきます。

ぼくは出版社を2004年から経営していて、
すべての外部業者さんと自分で交渉してきました。
その経験からお伝えしますね。

本を作るのにかかるお金の種類

まず、本を作るのにかかるお金の種類は、以下の通りです。

  • 編集者の人件費
  • 著者に払う印税
  • 本のデザイン費(カバーデザイン、本文デザイン)
  • DTP費(印刷するための専用アプリにデータを変換し、調整する費用)
  • 校閲費(てにをは、文章の修正。内容の確認をしてもらう必要)
  • イラスト費(イラストが入る場合のみ)
  • 印刷代
  • 用紙代

そしてそれぞれ、かかるお金はこのくらいです。

・編集者の人件費

1人の編集者は、月に1冊本をつくるのが通常。その人の人件費を30万~40万円だとすると、会社が負担する人件費は、約その1.5倍で45万~60万円

・著者に払う印税

本の定価の10%を払うのが相場でしたが、最近は5%~8%も珍しくありません。新人著者の場合は2%や、初版分(初回印刷分)は印税ゼロというケースもあります。
自費出版で考える場合、印税はありませんので、ここではゼロと考えます。

・本のデザイン費(カバーデザイン、本文デザイン)

本のカバーデザインは、相場で10万円。本文デザインは、4万~8万円です。(雑誌のように、すべてのページが異なるデザインの場合は、もっともっと高いです)

・DTP費(印刷するための専用アプリにデータを変換し、調整する費用)

これはページ単位で計算されることがほとんどで、1ページ当たり1,000円が相場でした。ただ、最近は1ページ300円で仕事を請け負うDTP屋さんもいます。
書籍のページ数は、200ページ前後なので、20万円としておきます。

・校正(校閲)費(てにをは、文章の修正。内容の確認をしてもらう必要)

校正費は1冊あたり5万円~10万円が妥当でしょう。どこまで校正者さんにチェックしてもらうかによりますが、「てにをは」や文体のチェック程度であれば、1冊数万円です。

・イラスト費(イラストが入る場合のみ)

イラストは1点●●円として決められることが多く、この値段はイラストレーターにより大きく変わります。自費出版の場合はそれほどイラストは入りませんので、多くて5万円と計算しておきます。

・印刷代&用紙代

ソフトカバーで、通常のサイズ(四六判といいます)で、5000部を印刷する場合、だいたい印刷代と用紙代あわせて、70万円~80万円くらいです。

合計

ということで、ここまでの費用を合計すると

  • 編集者の人件費 45万~60万
  • 印税      なし
  • デザイン費   15万円程度
  • DTP費    20万円
  • 構成費     MAX10万円
  • イラスト費   5万円
  • 印刷代・用紙代 80万円

合計       ざっくり180万円

これが、編集者の人件費を入れた制作コストです。

本を作ったのちの流通費

では次に流通費です。本を流通させるために必要な費用はいくらでしょうか?

流通にかかるお金は、

  • 営業担当者の人件費
  • 部戻し(問屋さんに払う手数料)
  • 棚代
  • 倉庫代

です。この他に広告を出したり、POPを作ったりすれば、それだけお金がかかります。

では、これらの経費はどれほどでしょうか。

・営業担当者の人件費

自費出版の場合は、営業担当者が書店に営業に行くことはまず考えられません。チラシや「新刊リスト」に組み入れることはあっても、その自費出版本のために、営業することはありません。なので、営業経費はゼロです。

・部戻し

取次(問屋さん)を通して流通する場合、初回に流通手数料がかかります。会社によってバラバラですが、平均的には「書籍定価×流通部数×5%」です。
ただし、自費出版専門の会社の場合、初回の流通部数は多くて数百部程度なので、かかっても2、3万円といったところでしょう。
※大手出版社が行っている自費出版の場合、初回の流通量を3000部程度まで増やせることもありますが、大手の出版社はこの部戻しがかからないケースが多いの、いずれにしても部戻しは考慮しなくてOKです。

・棚代

自費出版専門の出版社は、取次(問屋)との取引ができず、各書店と個別に「本を並べてもらう契約」をしているケースが多いです。その場合、○×出版社のの本を置く棚スペースを書店から買い、その棚に自社の本を並べます。
この棚スペースを買うのに、書店によっては1カ月10万円程度かかりますが、そこに自社で出した本を50冊くらい一気に並べるので、それほど大きな負担にはならないです。
そして、注意したいのが、この「棚」は店舗の奥の方にある、いわば「価値がない棚」です。一般の読者がふらっと来るような場所にはなく、その棚の場所を店員さんに聞かなければわからないようなところにあります。

これが書籍づくりに関してかかっているお金です。このように原価とカラクリを知ったうえで、いろいろ判断したいですね。

本の定価の決まり方

ここまで本を作るのにかかる費用を解説してきました。
本の定価は以上に加えて、消費税・印税・取次手数料・書店手数料などの各種税金と手数料、出版社の利益なども考慮されて決まります。

出版社に依頼する場合は主に出版社が決定しますが、自費出版の場合は出版社が介在しないため、定価設定は著者の自由となります。
本のページ数や大きさ、印刷部数などによって製作コストは大きく異なります。製作コストや販売経路、市場競争などの要素を考慮して、適切な定価を設定する必要があります。

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